校長室の春夏秋冬 | 神奈川県立湘南高等学校

学校概要

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学力向上進学重点校として

湘南365日

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校長室の春夏秋冬

2014年1月

今年は午年、飛躍の年です。


 私の趣味は乗馬です。若い頃は2つの乗馬クラブに入って、人の膝ほどの高さの障害を飛んでいました。責任ある立場になってからは十分な時間が取れず、今では、年に数えるほどしかクラブには通えません。今年は午年。湘南高校がさらに大きく飛躍する年にしたいと思っています。

 『神奈川新聞』に1月7日~11日まで「日本大馬術部の挑戦」が連載されました。馬術の魅力はいろいろありますが、「颯爽と駆け抜ける。わずかな手綱さばき。派手な掛け声はない。躍動する馬体を制し、乱れない。ぴたりと息が合ったその瞬間、馬の巨体は自らの体の一部と化す。1メートルほどの高さのバーをふわりと飛んでみせた。鮮やかで力強い。見る者を圧倒する」(7日)という記事にもありますように人馬が一体になるところです。しかし、これがなかなか難しい。3歳児ほどの知能があるといわれているために、「馬は乗り手の力量を的確に見極める。感覚やバランス、経験、資質。なめられたら動かない。人のわずかな力で、圧倒的に強い馬を自在に動かす。これが“術”といわれる理由なのでしょう」(9日)
 よくいわれることですが、馬術は他と異なり、動物と一緒に競技に出場する特殊なスポーツです。馬術の競技は大別すると、障害物を飛び越える障害飛越、馬の正確なコントロールを競う馬場馬術、前述の競技にクロスカントリーの要素を加えた総合馬術の3種類になりますが、いずれの競技も人間だけの力量を高めてもうまくいきません。馬の力量やコンディションも競技に大きく影響します。

 私が障害に最初に取り組んだときには、馬は私の力量不足を見抜き、全くいうことを聞いてくれませんでした。障害物であるバーの前まで走るのですが、バーの前で立ち止まるか、バーを避けて横飛びするのです。みんなの前で、馬に信用されていないことが分かってしまうのですから本当に恥ずかしい思いをしました。クラブのインストラクターからは、「馬の首を手綱でしっかり挟んで、飛ぶ直前に大きく鞭を入れて!」と指導されますが、自分が信頼されていない馬に鞭を入れるほど気持ちが重くなることはありません。馬が嫌々飛んでいることが分かるからです。

 「学業もしっかりこなせてこそ大学スポーツだ。部員が社会へ出た先を見て取り組む必要がある。人間力を磨いてこそ、馬術も強くなれる」(10日)という内容を読んでそのとおりと思いました。競技の力量だけを追い求めるのではなく、人間力を高めてこそのスポーツであると私も思います。それは、高校生も大学生も、学生スポーツである以上共通の理念ではないでしょうか。
 学生スポーツの理念を大切にしながら、是非競技に頑張って欲しいと思います。

 古い話で恐縮ですが、1932年のロサンゼルスオリンピックでは、その最終日、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアムにおいて、日本人の西竹一選手が、額の白い毛が星の形に見えることからウラヌス(天王星)という名をつけた馬にまたがり、障害飛越競技で金メダルを獲得しました。現在のオリンピックでは、マラソンが花形競技の一つですが、当時は大会最終日にメインスタジアムで行われる馬術競技が大人気でした。
 私の記憶によれば、日本はそれ以降オリンピックの馬術競技でメダルを取ったことはないと思いますので、2020年の東京オリンピックの時には馬術競技で日の丸が揚がることを心から期待しています。


 他県のある校長から「私は年間100冊の読書を目標にしている」と伺いました。理系の校長ですが、味わいのある立派な文に接する度に、この言葉を思い出しています。
 今月は正月休みもあり、いつもより多く本に接することが出来ました。その中で、グローバル人材育成を考える上で、苅谷剛彦オックスフォード大学教授の『アメリカの大学・ニッポンの大学』『イギリスの大学・ニッポンの大学』(両書とも中公新書)が大いに参考になりました。『イギリスの大学・ニッポンの大学』で特に印象に残った記述がありましたので少々長いですが引用します。

 大学でどんな教育を受けたかの代わりに問われてきたのは、大学4年間で何を経験したかである。理工系や一部の専門職教育を提供する学部を除けば、学業成績に関係する大学での教育の成果が社会から問われることはほとんどなかった。代わりに授業以外の体験‐それは課外活動、ボランティア、アルバイトあるいは海外旅行の体験だったかもしれない‐には関心が向けられた。日本の社会にとっての大学は学習の場であったとしても、そこでの学習は、授業以外のこうしたさまざまな経験を通じて得られる「体験学習」であり、大学はそのための時間を与える場であれば十分だったのである。

 かつて「レジャーランド」と揶揄されながらも、日本の大学が拡大し続けてきたのは、大学が提供する教育が重視されたからというより、大学がさまざまな経験を可能にする自由な時間を提供する場だったからである。読み書き算や理科・社会といった基礎的な知識は、大学受験までの教育で習得される。他方、   職業的な知識や技能の多くは、長期雇用を前提に就職後の職場でのOJTを通じて獲得される。その間にはさまれた大学での4年間は、比較的自由な「余暇」として、小中高校や企業では得られない体験を積む時間となる。日本社会にとっての大学とは、そういう広い意味での「体験学習の場」だったといえるのである。(164頁)
 苅谷教授は、「大学のブランド力も学生や教員を引きつける強みにはなるが、学生にとっては教育の質が低かったり、教員にとっては教育研究環境や待遇の面で魅力がなければ、優秀な人材を引きつけることはできない。とりわけ、絶大な資金力を持つアメリカの有力大学との競争は熾烈である」(前掲書 167頁)と論じ、「英語圏の大学は海外から優秀な学生や教員を引きつける上で強みであると同時に競争社会のまっただ中にいる」(前掲書 167頁)と指摘しています。そのために、オックスフォードのような大学で学ぶ学生や教員にとって大学は「体験学習の場」ではなく、「学問をするところ」であることを強調しています。
 日本でも優秀な留学生と日本人の学生がお互いに切磋琢磨する大学も増えています。グローバル人材育成のためにはどういう教育を行うべきか、大学はもちろんですが、高校も含めて日本の教育全体が問われている気がします。

 『日本経済新聞』(1月20日付)の「教育」欄に、埼玉県立浦和高校同窓会会長の寄稿がありました。その中に、アメリカのミシガン州立大学が夏休み期間中に行うセミナーについて次のような記載があります。「夏休み期間中に高校生を対象に行っているもので、2週間の日程で、午前は科学・数学・経済学等の教授から講義を受け、午後はグループワークやプレゼンテーションを行う。学生寮が宿舎として提供され、米国を中心に世界各国から高校生が集まり、アジアでは韓国・中国から大勢参加しているが、残念なことに日本からの参加は浦高生のみだそうだ。浦高からは、昨年度3人、今年度5人の生徒が参加したが、全員が『大いに刺激になった』と感想を述べている」

 理想を言えば、生徒の皆さんには「世界に触れる体験」を高校時代にして欲しいと思います。そのためには留学は別格としても、姉妹校交流、海外修学旅行、海外研修など私たち教える側が生徒に機会を提供すべきであると考えます。 湘南高校では幸いなことに、同窓会である湘友会に全面的にバックアップして頂き、昨春から海外研修を始めることができました。第一回はアメリカのハーバード大学やマサチューセッツ工科大学を中心とした研修で、第二回目の今春は、イギリスのケンブリッジ大学やオックスフォード大学を中心とした研修です。湘南生には世界に触れて、海外の大学を「内」から見て欲しいと願っています。イギリス研修の旅程は次のとおりです。

第1日目: 成田空港出発、ヒースロー空港到着、ケンブリッジへ
第2日目: ケンブリッジ大学キャンパスツアー
ケンブリッジ大学のサイエンスフェスティバル参加
現地学生とのディスカッション
第3日目: ケンブリッジ大学の研究所訪問
日本人学生、大学院生、研究員によるレクチャー
第4日目: オックスフォード大学キャンパスツアー
教員、研究員によるレクチャー
第5日目: オックスフォード大学の研究所訪問、ミニシェアセッション
第6日目: ストラトフォード アポン エイポン見学
第7日目: ロンドンへ
第8日目: 大英博物館、シティ オブ ロンドン(金融街)見学
ロンドン湘友会の皆さんとの交流
第9日目: ロンドン市内見学、ミュージカル観劇
第10日目: ヒースロー空港へ
第11日目: 成田空港着

 1月12日は、茅ヶ崎市民文化会館で、「第35回吹奏楽の集い」が行われ、音楽好きの中学生や高校生、保護者の皆様で満席でした。本校は茅ヶ崎市立松浪中学校の吹奏楽部と合同で演奏を披露しました。曲は「コンガ」と「スタートレックのテーマ」でした。両校の音出しのところから見学させてもらいました。本番では中学生と高校生が仲良くチームを組んで演奏している姿に感銘を受けました。

 1月18日は、黒川雅夫副知事のご臨席のもと、神奈川県高等学校総合文化祭総合閉会式が青少年センターで行われました。本校は、全日制では合唱部と歴史研究部が高文連会長賞、生物研究部が青少年センター館長賞、美術部の木村緋香里さんが奨励賞を受賞しました。
 定時制では演劇部が高文連会長賞、鉄道研究部が専門部会長賞を受賞しました。生徒たちの日頃の努力が認められ、学校としても名誉に思っています。この閉会式の進行は生徒の手で行われましたが、その手際の良さや生徒の手話通訳の見事さに感心しました。

 1月14日から19日まで藤沢駅ルミネの6階にある藤沢市民ギャラリーで「第27回藤沢市高等学校美術展」が開かれました。公立・私立合わせて14校の作品が展示されました。
 湘南生の作品は、アクリルガッシュ、鉛筆画、油彩、水彩の他に、ろう付け加工による平板リング、空き瓶のリサイクルによるキャンドルランプ、イラスト作品集(製本)が展示されました。展示作品の一部を写真で紹介します。

第27回藤沢市高等学校美術展
  
第27回藤沢市高等学校美術展
第27回藤沢市高等学校美術展
  
第27回藤沢市高等学校美術展
湘南高校生徒作品(手前はリング、後方はキャンドル)
  
湘南高校生徒作品(アクリルガッシュ)
  
正月飾り
  
乗馬
生徒が作ってくれた正月飾り
校長室が明るくなりました。
  
馬上は私です。何年やってもなかなか「うま」くなりません。
  

 

 

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